第2回目の今回は「フランスのグライダー」3機種がターゲット。榛名山美麗のナンレイエリアでフライト中の
フライヤー3名を探検隊に任命、さっそく探検に出発だ!
今回の目的地は群馬県榛名山。12月3日、都内の自宅を朝7時半に出発。外環自動車道から関越自動車道
に入り、高崎ICで降り、R18号からR406を走り60分。約2時間で、ナンレイエリアに到着した。
エリアには、今回探検隊員をお願いする「ゲンコツサーマルの会」のメンバーの面々が集まっていた。
その中から、井田一幸さんと山内守さん、オジサンばかりでは写真写りも悪いので、飛びに来ていた馬場亜子
さんを、第2回の隊員に任命することにした。
小貝隊長 :今日は有難うございました。どうでしたか?お仏蘭西の乗り味は。
山内隊員 :エレガント!立ち上げも穏やかで離陸もスムーズ。全てに余裕がある感じ。
こんなに飛んでいて楽しいのは久しぶりです。
井田隊員 :ワンサイズ小さかったから、その分余裕があったんじゃないの?
小貝 :今回のグライダーは、山内さんには少し小さかったかも知れませんね。
山内 :サイズはMだったので、少しオーバー気味で乗った機種もあったけど、浮きも速度感も気持ちが良か
った。小さめのグライダーに乗れば、今の病気も治るんじゃないかって思った。
馬場隊員 :今の病気って、山内さんなんかの病気持ちなんですか?
山内 :今まで見栄みたいのがあって、俗に言うコンペ機を買ったんですが、それが失敗でした。
怖い目に遭い、ビクビク飛んでる感じだったんです。そこでDHVクラス2の最新の機体にしたんですが、
まだもてあましている感じ。最近、上がるのが怖いんです。
井田 :実はパイロット証取り立ての頃、落ちて圧迫骨折をした経験があるんです。それ以来、慎重すぎるくら
いにフライトしています。今度ケガしたら、パラやれせてもらえなくなっちゃうョ。だから簡単にはグライ
ダーを換えないんだけど、今回乗ったグライダーはどれも魅力的だった。「新発見!」て感じです。
馬場 :私は装備重量の関係で一機種しか乗らなかったけど、今のスタンダードのグライダーなら、余程のことを
しない限り、そんな事故は起こりそうにないですね。
山内 :少し重めの私でも、低速もきちんと利くし、どのグライダーも安心して乗れた。とにかく久しぶりに楽しい
フライトでした。私は良い仲間のお陰で続けてますけど、事故が原因や、私みたいな理由で(パラを)休
んでいる仲間がたくさんいるんです。そんなお休み中のパイロットにこそ、こんなグライダーを乗せてみ
たい。
井田 :私は今二世代前くらいの上級機に乗ってるんですが、自分の中ではそれで満足してるんです。ケガの
こともあるし、スペックを追いかけたら切りがない。それに今のフライトスタイルなら、今の性能で充分
なんですよ。だから新しいグライダーにも興味を持っていなかった。それが飛んでみてもビックリ。
ラインも少ないし取り扱いやすいし・・・これが初級機なのって感じです。
小貝 :便宜上、キャラクターを説明するにあたり、初級機という言い方をしましたが、今回のどのグライダーも
各メーカーのラインナップのボトムに位置するグライダーなんです。その意味では、一機目に買うグラ
イダーなので、わかりやすい言い方で初級機と言ったのです。しかし、乗ってみてもらって皆さん感じて
いると思いますが、どれもサンデーフライヤーには充分な性能を持っています。
山内 :大きめなインテークや翼の厚さなど、見た目にも全く不安は感じられない。かと言って、広げた時の
見た目のアスペクトもそこそこあったけど、立ち上げても素直。飛んでみると、安心感が一杯。旋回性
も良いし、自分のグライダーと比較しても今回の方が良い印象。何時もはまっちゃう所でもぐんぐん出
るし・・・・ とにかく充分過ぎる性能がありますね!
井田 :私も同感。どのグライダーも気に入った。
小貝 :よく言われていることだけど、技術や経験でグライダーを分類するのでなく、フライヤーのスタイルや
フライトの頻度でグライダーを分類しなければならない時代になりましたよね。
馬場 :今までだったら、どこかが満足いかなくなって、買い換える。それも段階を上がらなくては、その足り
ない物が手に入らなかった。だけど今のグライダーなら、安心して乗れる上に、充分な性能も付いて
いるって感じです。
山内 :変なプライド、より飛んでより難しいグライダーに・・・と言った変な上昇志向は、もう必要ない。
前の(グライダー)は抜群に良く飛んだんですが、自分では扱いきれませんでした。何が怖いという
ことはなかったんですが、だめなんです。不安で・・・。
井田 :特に山内さんは、家族が何時も見ているから、目の前で危険な目みせられないよな。
今日のグライダーに乗って、ひとつわかったことがあるんです。最近エリアで高高度を飛び始めた
パイロットがいるんですが、新しい機体になった途端に、素晴らしい飛びをし出したんです。
仲間内では、結構話題になってるんですが、今日最新のグライダーに乗ってみて「なるほど」と思い
ました。余裕って大切ですよね。彼は、買い換えた途端に、テイクオフもランディングも短期間に
上達しちゃった。
小貝 :全てが「余裕の成せる技」なんですね。ところで数回の試乗じゃ、何とも言えないと思いますが、
仏蘭西の味は如何なもんで・・・。
山内 :メーカーも積極的に宣伝しているのでしょうが、申し訳ないけど、見るのも乗るのも始めてのメーカー
で、そんなグライダーに乗れただけで、胸一杯!
小貝 :8月号のギアカタログでも全部出ているグライダーなんですが・・・。
山内 :勉強不足でした!(笑い)
井田 :どうしてもスクールの流れや、クラブの仲間が乗っているとか、自分でメーカーを選ぶ環境にない。
その中であえて、そこの国がいいなんてこだわりは、なかなか持てないな。
小貝 :確かにパラグライダーを選ぶ時、まずブランドありき。国籍は問題じゃないですものね。それに所属
しているスクールやクラブの繋がりの中で、機体を選ぶことが多い訳だし。
小貝 :話探検は少し逸れるかもしれないけど、先日新車の発表会を見るチャンスがあったんですが、
席上でそれぞれの部門のデザイナーがコンセプトや苦労話をしてくれるんですよ。それから車を見る
と、理解度とか愛情とか、単なる車の評価だけじゃない側面が見えてくるんですよ。
馬場 :一般のフライヤーには、込められた作り手のコンセプトや熱い思いを、グライダーから読みとれる程の
技術も経験もないけれど、もしその気持ちが汲み取れたとしたら、素晴らしいでしょうね。
井田 :そうだね。私たちが飛べるのは、気象状況や仕事の兼ね合いもあるので、月に2、3回。自分だけの
力じゃ、それを理解できないけど、その声やコンセプトをどんどん公表してくれたらいいね。
そうすれば思い入れも違ってくる。
山内 :大きなエリアなら試乗の機会もあると思うけど、ローカルなエリアだとそんな機会も少ないし、今回いろ
いろなメーカーのグライダーに乗れて楽しかった。どれも味はあるんだけど、それを的確に表現する
言葉が出てこない。
小貝 :それこそワインのソムリエのように、「春風が通り過ぎたような、爽やかな旋回」とか「太陽を一杯に
受けた若葉が、開くようなライズアップ」なんて言えれば面白いよね? 普通のパイロットには必要
ないけど!(笑い)
それだは最後になにか一言。
山内 :今休んでいる仲間にも、心からこんなグライダーに乗ってもらいたいと思います。以前、そんな仲間が
「罰ゲームで飛ばされているみたいだ」と言っていたことがあるんですが、当時は意味がわからなかっ
た。今は理解できます。
井田 :テニスだってスキーだって、遊んでて楽しいのが一番。働いて、家族サービスもしながら、やっと飛びに
来た休日に良い飛びができたら最高の幸せ。本当に良い時代になりました。
馬場 :小貝さん、おそば来ましたよ!
一同 :いただきま〜す。