天使についての詳しい説明  
  

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 天使というものを知らない人はまずいないでしょう。一般に天使にイメージされる姿は、ひとつは翼を持ち優しげで輝いている姿、そしてキューピッドのころころしたかわいらしい姿の二つだろうと思います。しかしそうしたイメージは後になってから形成されたものなのです。天使には人を見守ってくれる庇護者としての姿もありましたが、時には厳しい制裁者としての姿や神の言葉を伝える伝言人としての姿もありました。そして天使というものを詳しく知れば知るほど、もともとはそうした天使の方が多かったことも分かります。
 誰でも知っている存在でありながら、天使の性質や、実は天使にも階級があったことなどはあまり知られていません。具体的な天使の名前も普通の人はほとんど知りません。よく知られているものなのにイメージだけが先行し、詳細は知られてはいないのです。

天使とは
 
 ヘブライ語の聖書をギリシャ語訳した“αγγελοσ(Angelos)”=“使者、伝令”という言葉が、“Angel”=“天使”の語源である。この使者、伝令というのが語源であることから分かるように、天使とは神の意志を伝える使者として創造された。しかし、十一世紀頃から神学者たちが天使に興味を持ち始めると、聖書の正典に限らずあらゆる偽典・外典からも天使が拾い上げられ、その機能や生体、仕事や階級などが定められるようになり、天使の役割も単なる伝言人にとどまらず、人間の霊魂の管理や癒し、天体の運行など、この世の森羅万象あらゆる事象が天使に引き受けられるようになった。


 
天使の生体
創世記にもある神の七日間にわたる天地創造、この前にすでに天使は創造されていたという。人間(アダム)は土塊から創られたが、天使はから創られた。普段天界にいる天使たちの体はエーテルという原質によって構成され、実体を持たない霊体であるが、神の命を受け地上に出現する際には物質化し、実体を持つようになる。
 中世においては天使の体の概念は二通りあった。トマス・アクィナスとドゥンス・スコトゥスの二グループに分かれ、前者は完全な非物質の存在、後者は体を持っているのだがより繊細で希薄なため人間の眼には見えないという意見であった。

天使の姿 
 翼 Wing

 古くから熾天使の六枚の翼や智天使の四枚の翼に天使の翼についての言及はあったが、翼が芸術作品の中に定着し始めたのは四世紀に入ってからのことだった。翼が示すものは、現実にそれを使って天使が宙を飛ぶというより、現世(地上)と彼岸(天界)を行き来する彼らの能力、超越性、空間を越える彼らの動きの自由さを示す象徴的なものであった。霊的な存在が翼を持つという概念は、ギリシア、エジプト、アッシリアなど、天使に限らず古くからある



 光輪 Halo

 光輪は四世紀までには宗教画では標準的に用いられるようになっている。聖人や宗教上の人物、天使の頭の上から環状のうすい光を描くことで、その人物の神聖さや美徳、神に近い存在であることを示した。形而上学的に見れば、光輪は霊的存在、精神の高貴な人物の頭部より発せられるオーラを表したもの、スピリチュアルなエネルギーを表したものと考えられる。光輪は天使に限らず、聖母マリア、キリスト、聖人たちにもつけられている。


 性別 Sexuality

 天使は両性具有的な存在であり、人間のような性別という概念は超越した存在であるというのが神学的見解での一般である。多くの画家は天使を男性とも女性ともとれる姿で性別をあいまいにして描いている。
 ただ、初期の頃には天使は男性であるという考えが強く、天使がはっきり女性の姿で描かれるようになったのはルネサンス期に入ってからのことだった。


 楽器 Musical instrument

 絵画において、天使は時としてリュートやハープ、バイオリンなどの楽器をともなった姿で描かれることがある。古代から音響や歌には感覚をスピリチュアルな領域に近づけ、神や天界へと近づく手段としての要素があり、ルドルフ・シュタイナーの意見では、「どのような音も(視覚的な天使出現もそうだが)、知覚する人間が霊的な世界に入り込んでゆく感覚世界の窓に相応する。」とある。


 衣装 Cloth, dress, uniform

 多くはガウンなどのゆったりとした衣装、またはその時代の服装で現れる。天使の霊的な衣装に関しては、「光の輝き」と「白い」という言葉で表される。
 また、絵画では天使の階級を規格化された姿で表す手法もあり、大天使は甲冑にサンダルをつけた姿、守護天使はローブをまとい裸足の姿で描かれた。


 芸術 Art

 ユダヤ、イスラム教とも宗教的人物を絵に描くことをタブーとしていたため、天使芸術は長い間キリスト教のもとで発展してきた。キリスト教では、325年のニカイア公会議ではじめて天使が教義の一部と正式に確認され、そして787年の二回目のニカイア公会議で、天使を絵画や彫刻で表してもよいという布告が出されたが、天使芸術はすでに一回目のニカイア公会議のあった四世紀の頃から始まっていたとされる。

天使の翼 
 旧約聖書の初期の書では天使に翼があるという記述は何もされていない。『イザヤ書』と『エゼキエル書』に熾天使と智天使についての翼の記述があるのみで、新約聖書においては天使に翼があるとはいっさい書かれていない。ごく初期のキリスト教芸術家たちは天使を翼のない若者の姿で描いている。四世紀までキリスト教芸術家たちは天使を描くのに、他宗教にそのインスピレーションを求め、特にギリシア、ローマ神話のイメージが天使に最大の影響を与えた。ギリシア神話の翼を持った勝利の女神ニーケー(Nike)はローマ神話のヴィクトリアに取り入れられたが、ヴィクトリアのイメージが翼を持った天使像のもとになった。しかし、ルネサンスに入るまで、キリスト教画家たちが天使を女性に描くことはなかったため、両者が混同されることはなかった。
 天使への神学的な興味は十四世紀を最盛期に、あとは衰退して天使は神学の中心からは離れていったが、そのことが逆に画家たちに天使を描くことに自由を与えた。画家個々人のインスピレーションから天使像が生み出され、ルネサンス以降の芸術家は子供や女性の天使像も描くようになり、翼も鷲や白鳥のような鳥の翼にモデルを求めたり、美しい色彩を与えたりした。現代にいたる天使像のもとをつくったのもルネサンス期の天使像であった。

 思考と同じ速さで飛び回る天使に実質、翼は必要ないが、天の領域を飛び回る天使の能力を示すため、天使の霊力が具現化されたものとして天使は翼を身につける。ユッタ・シュトレーター=ベンダーは、翼は天使の動きの自由さを表すシンボルであるばかりでなく、彼らのアウラ(あらゆる存在と被造物の生命の放射、人間には感情の中で無意識に知覚されるものだが、天使のアウラはその密度と色力においてはるかに上回るため神々しい光の線の放射となって現れる)の具現化されたものだと言っている。

 天使の翼は時としてその役職を示すモティーフであったり、絵画においての図像の象徴化を担うものであったりする。
 ローズマリ・エレン・グィリーは翼のある天使の存在理由と役割を次のようにあげている。

  ・神のみの言葉を伝え、神の意志を遂行するための使者
  ・キリストの守護者かつ付添者
  ・魂をとこしえの世、あるいは天国へ導く者
  ・儀式の重要な参加者
  ・最後の審判の使者

    (ローズマリ・エレン・グィリー『図説天使と精霊の事典』)

 マルコム・ゴドウィンは、天使が人間と同様、重力を受け体重を持っていた場合、実際に空に飛び立つためにはどれほどの大きさの翼が必要かを計算している。
 
  長身の天使の体重を二〇〇ポンド(約九〇キログラム)とすると、
  三六フィート(一二メーター)ないし、一二〇フィート(四〇メー
  ター)の翼幅が必要となる。これはハングライダーの大きさに相当
  するが、この種の翼は滑空と上昇気流を受けての滑翔にしか用いる
  ことができない。

             (マルコム・ゴドウィン 天使の世界
)

愛のキューピットの間違いクリスマスカードや装飾画等によく見られる小さな羽をぱたつかせるころころとした赤子の天使。天使でイメージされる姿の代表と言ってもいいこの天使像、彼らは一般に愛を運ぶキューピッドとして知られている。しかし、このキューピッドとは本当は天使ではない。
 キューピッド(Cupido「欲望」)はローマ神話の神様、ギリシアでは愛の神エロスとして知られている、キリスト教とは関係のない神様なのである。
 赤子の天使は通常、智天使cherubs)がそうであるとされ、キューピッドが弓と矢を持っている以外はあまり見分けはつかない。ただ、絵画の主題から、ギリシア・ローマ神話に関連したものなら当然それはキューピッドであるし、キリスト教、聖書の主題に関連したものなら智天使と断定できる。
 エロス(キューピッド)は、紀元前五世紀の頃から美の神アフロディーテ(ヴィーナス)の子として結びつけられる傾向が多くなり、もとは青年に近い姿をしていたものが、次第に幼い少年、童子の姿へと変えられていき、今日の姿へと変わった。
 智恵の天使であるケルビムは成長しつつある子供を具現するという。また、天の存在に子供の魂が近いことは明るいブルーに象徴化され、その色はケルビムの光力を象徴するものでもある。キリスト教絵画におけるケルビムは顔と翼だけの存在として描かれることもある。
 さらに智天使を厳密に分けるなら、子供の天使はプット(putti)という名称がつけられている。本来の、エデンの東の園の守護者としてかかげられた力強い智天使(cherubim)と混同しないために

天使の起源と寿命 多くの思想家は天使の創造が天地創造の一日目になされたとしている。二日目、五日目だという主張もあるが、天使が天地の創造時に生まれたという意見は統一されている。
 他に、天使は神が新たに望みを抱くたびに、それをかなえるために天使が生まれてくるという説もある。ユダヤの教典『ミドラシュ・ハニーラム』には、天使は「全ての創造物の始源であり、神の光輝より流出した」とある。
 天使は神のような永遠の存在ではないが、人間の魂のように不死の存在であるとされる。天使も人間の魂も不滅の物質から構成されている。天使の姿が若者の姿で描かれるのは天使の不死の性質を示すためでもある。
 しかし、不死の生命を持つ天使と、特定の任務を帯びてその期間にだけ存在する寿命を持つ天使の二種類がいると言う学者もいる。


  聖書が世界の創造を語る箇所では天使が果たして創造されたのか、
  いつ創造されたのか、明言されていない。
  ただし、もしも言及されたのであれば、
  それは「初めに神は天地を創造された」と述べられる時の
  「天」の名のもとに必然的に含まれるのである。
                     (聖アウグスティヌス)

天使の階級
 古代から中世の頃まで、神学者たちによって、教会と同じく天使にも階層をつくりランク付けをすることが何度も行われていた。この階級にいてはいろいろな説があって違いもあるが、カトリックでもっとも信用を得ているものに偽ディオニュシオスによる天使の九階級がある。この九つの階級はそれぞれ三つに上級・中級・下級の三隊に分かれている。

  階級   名前
第一階級(上級三隊) 熾天使(セラフィム) Seraphim
第二階級(上級三隊) 智天使(ケルビム) Cherubim
第三階級(上級三隊) 座天使(スローンズ) Thrones
第四階級(中級三隊) 主天使(ドミニオンズ) Dominions
第五階級(中級三隊) 力天使(ヴァーチュズ) Virtues
第六階級(中級三隊) 能天使(パワーズ) Powers
第七階級(下級三隊) 権天使(プリンシパリティーズ) Principalities
第八階級(下級三隊) 大天使(アークエンジェルス) Archangels
第九階級(下級三隊) 天使(エンジェルス) Angels

守護天使 
 その守護範囲は広くは国家、地域を守護し、さらには人が生まれるときに必ず一人守護天使がつくという。


 国の守護天使

  ペルシャ:ドビエル
 Dobiel(熊の神)

  ローマ:サマエル Samael(サタンクラスの魔王であり闇の支配者)

  エジプト:ラハブ Rahab(原初の海の支配者)

  イスラエル:ミカエル Michael(大天使長)


 イスラエルを守るミカエルはともかく、その他の国の守護天使たちは当時、イスラエルと敵対していたことから堕天使となってしまっている。


 人ひとりひとりにつく守護天使

 人ひとりについて守護する守護天使は天使の階級の最下位の九番目に位置し、ミカエル、ガブリエル、ラファエル、ウリエルを君主にいだく。その数に正式な決まりはないが、キリスト教会ではキリスト教徒ひとりに二人ついて、ひとりは右手にあって善を導き、ひとりは左手にあって悪に導くという。ユダヤの法律と伝承の書『タルムード』では、ユダヤ人ひとりに一万一千の守護天使がついているという。


 現代の守護天使

 現代でも守護天使の存在を感じる人はいる。それは自身のうちに潜むスピリチュアルな高位の存在であったり、死んだ人の魂が見守っているという守護霊のような存在である。

死を司る天使
 ユダヤの伝承では死の天使は冷酷で魂を奪い取る存在とされ、地上の何者も彼から逃げられないように体中が目で覆われているという。しかし、時に逆に人間にだまされたり、哀れみからまたの機会に改めようとすることもあるという。


 ・ユダヤ教では「黄泉の国の守護者」としてガブリエル
が筆頭にあがっている。
 ・キリスト教ではミカエルが死の天使として人間の魂を秤に掛けるという。
 ・イスラム教ではアズラエルが死の天使とされる。
 ・堕天使サマエルもまた死の天使の候補に挙がっている。


 古代バビロニアではそれぞれ役割を分担する六人の死の天使がいるとされた。

    ガブリエル 若者の生命を司る
    カフジエル 王の生命を司る
    メシャベル 動物の生命を司る
    マシット  子供の生命を司る
    アフ    男性の生命を司る
    ヘマハ   家畜の生命を司る
                 (真野隆也『天使』)

4大天使

 天使の9段階の中で八番目の位にある大天使、しかしながら、彼らはもっとも人間の近くにいると同時に、最も重要な役割と権威を持っている。最高位である熾天使の君主に彼ら大天使がいることもある。だがこうした位の混乱や矛盾などは天使においてはよくあることでもある。


 七人の天使

 大天使の数はキリスト、ユダヤ教でともに七人と認めている。『黙示録』で神の御前に立つ七人の天使も大天使であると言われている。しかし、誰が大天使であるかについては様々な論があり定まっていない。それでも、ミカエルガブリエルラファエルウリエルは大天使として常に現れる名前である。まずはこの四人の大天使に焦点を当てる。


    大天使ミカエル Michael

    大天使ガブリエル Gabriel

    大天使ラファエル Raphael

    大天使ウリエル
 Uriel

大天使


 中世以前、まだ天使の階級がはっきり定まっていなかった頃、大天使が最高位についていた。しかし、キリスト教会でもっとも支持を得ることになった偽ディオニュシオスの天使の9階級では、大天使は八番目の階級にまで落とされている。これにより、天界の軍団の総指揮者であるミカエルや、最高位の熾天使の頭領と言われるウリエルやメタトロンなどがこのような下の格に来るという矛盾が起きている。

 大天使の数は定説として七人、大天使の候補にあがっている中で定番となっているのがミカエル、ガブリエル、ラファエル、ウリエルの四大天使。残りの三人は以下の大天使の中から候補として選ばれる。


   大天使メタトロン

   大天使サリエル

   大天使ラグエル

   大天使ラミエル

   大天使ラジエル

イスラム教の天使

 イスラム教での天使はマラーイカ(Malaika)と呼ばれ、伝令の意を持つ。この天使は人間一人一人の善悪の記録を取り、最後の審判の日にこの記録が手渡され、善人の記録は右手に、悪人の記録は左手に乗せられ天国行きか地獄行きかを決定される。


 
コーランに登場する七人の天使

   ミーカール Mikal

   ジブリール Djibril

   アズラエル Azrael


   マリク Malik

   イブリース Ibris

   ハルートとマルート Harut and Marut


 その他の天使

   イスラフェル Israfel

   ハダーニエル Hadarniel

   ムンカルとナキール Munkar and Nakir

天使の暦

1月 ガブリエル Gabriel
2月 バルキエル Barchiel
3月 マルキディエル Marchidiel
4月 アスモデル Asmodel
5月 アムビエル Ambiel
6月 ムリエル Muriel
7月 ベルキエル Verchiel
8月 ハマリエル Hamaliel
9月 ウリエル Uriel
10月 バルビエル Berbiel
11月 アドナキエル Adnachiel
12月 ハナエル Hanael
月曜日 ガブリエル Gabriel
火曜日 ザマエル Zamael
水曜日 ラファエル Raphael
木曜日 サチエル Sachiel
金曜日 アナエル Anael
土曜日 カシエル Cassiel
日曜日 ミカエル Michael


 祝日

3月24日 大天使ガブリエルの日
(1969年以前のローマ・カトリック)
7月28日 大天使ウリエルの日
(エチオピア、エジプトの正教会信徒)
9月29日 ミカエルの日<聖ミカエル祭
(1969年以前のローマ・カトリック)
三天使(ミカエル、ガブリエル、ラファエル)の日
(ローマ・カトリック)
10月2日 守護天使の日(ローマ・カトリック)
10月24日 大天使ラファエルの日
(1969年以前のローマ・カトリック)


 

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